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第3話 side:セルジュ
私はまた夢を見ていた。
最期の瞬間、微笑みかけてくれたあなたを、私は助けられなかった。その後悔が私に夢を見せる。
あの日以来、私は常に飢えている。
この渇き切った心を癒やしてくれるのは、あなた以外考えられない。
あなたがいなくなって長い時が過ぎた。ただ生きるために放浪する私は、いつの間にか日本という国に来ていた。
それからのことはあまり覚えていない。ただ無性に懐かしい香りを感じた。その香りを求め、さまよい歩くうちに、例の症状が現れて、私は動けなくなってしまった。
雨に打たれ、身体の感覚が無くなる。私のようなバケモノでも、漠然と『死』というものを考えた。
これで良い。このまま、あなたの元へ……。
「おい、生きてるか」
医者と名乗った男は、得体の知れない私を助けようとした。
彼はあの人にどこか似ていた。
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