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第10話

 昼頃からぐずついてきた天気が、さらに悪化したようだ。  夜、俺が病院を出る頃には雨が降っていた。傘を差すほどの雨ではないので、俺は走って家路を急いだ。  家の前には予想外の人物が立っていた。 「セルジュなのか」 「突然すみません、貸してもらった服を返しに来ました」 「あー。わざわざありがとう」  すっかり服のことなんか忘れていた。今日のセルジュは出逢ったときのような、闇色の服を着ていた。 「寄るか? 寒いだろう」 「あ、私は……」 「気にすんな。お前だって雨の中ここに居たら、身体冷えるだろうし」  俺は半ば無理やりセルジュを上がらせ、乾いたタオルを渡す。 「何か飲むか。てか何飲むんだよ、お前」  俺はカマをかけてみた。嫌な質問だということは承知している。彼はソファーに座り、何か考えているようだ。  その間にふたり分のコーヒーを淹れ、テーブルを挟んだ向かいに座る。  俺はセルジュから話し出すのを待っていた。  どれだけの時が過ぎたのだろう。ようやく彼が口を開いた。 「高橋さんは、私の正体に気づきましたよね」

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