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第12話

「私は……」  そこまで言って、セルジュは口を閉じてしまう。彼の心の扉は簡単に開きそうにはないな。 「私は……かつて愛した人を、この手にかけてしまいました」  想像以上に重い告白に、俺はできるだけ動揺しないように努めた。 「私とエドワードは恋人同士でした」  セルジュが話を続ける。 「ですが突然、私が暴走してエドの血を吸い尽くしてしまったのです。私は彼を助けることができませんでした。いくら後悔してもエドはもういない。彼との最後の約束を守り、私はどんなことがあっても生き続けると決めたのです」  淡々と語るセルジュの表情は、どこか哀しげだった。 「もしかして俺を『エド』と言ったのは」 「あなたはどこかエドに似ています。彼も医者で、世話焼きで……何より血の香りが瓜二つです」 「おい、誰が世話焼きだって?」 「私みたいなバケモノを、二度も部屋に招き入れますか?」 「それが俺の仕事だ」  セルジュに会ってからの己の行動を振り返ると、確かに危機管理に欠けていたのかもしれない。彼の話は続く。 「私がここを離れようとしたのも、高橋さん越しにエドを見てしまったからです」

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