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第20話 初夜2*~Ωの目覚め

 オルテガは、スゥエンの細い腰を緩やかに揺すぶりながら、髪を撫で、首筋に唇を這わせ、吸い上げた。紅い花がしっとりとした白磁の肌にほつりほつりと花開いていく。 「あぁ----ひっ---ひあぁ---あぁあっあぁっ---。」  敏感な部分をオルテガの広がった部分で柔らかに掻き立てられ、スゥエンの身体が小刻みに震え、悶える。いつの間にか、スゥエンのそこからしっとりとした蜜が溢れ、秘肉が柔らかにオルテガの雄を包み込み、蠢いていた。 「あ---あんっ------あぁっ---んぅ---あぁあっ---」  悲鳴は甘やかな喘ぎに変わり、咽び泣きは、啜り泣きに変わる。 ーΩの、目覚めだ---。ー  Ωの発情は、αであるオルテガの発情も誘発する。発情したスゥエンのフェロモンが、オルテガのαのフェロモンの分泌を促し、そうして発露されたαのフェロモンが、未成熟だったスゥエンの肉体を、成熟したΩのそれに作り換えていく---。  Ωの最初の交合は、まさに、その『扉』を開く行為だ。 「どうだ---スゥエン、気持ち良くなってきただろう?---」  頬を撫で、軽く口付けながら問う。 「そんな---こと-------あっ、あああぁ---あんっ---あぁっ!」  スゥエンは身体を突き上がってくる甘い痺れと目眩にいやいやをするように頭を振る。が、その目と肉壺は既に快楽に蕩けている。気づかぬ間にオルテガの背に両手を回し、きつくしがみついている。 「良いのだろう。スゥエン---素直に感じればいい。お前はΩ、抱かれる性なのだ。抱かれて感じることを恥じる必要はない---。」 ーそんな---そんなの、イヤだ---。ー  心の中で、必死に否定しながら、だが既にスゥエンの肉体は、オルテガの与える快楽によがり、身悶え、歓喜に震えていた。 「言ってごらん。気持ちいいのだろう?ワシを奥深くに咥えこんで、嬉しそうにお前の腔はひくついて、ワシのモノを締め付けておるぞ---。」  オルテガは再び、スゥエンを褥の上に押し倒し、深く穿った。スゥエンの腰がくねり、白い臂が揺れる。 「あ---あぁあぁ----オルテガ---さま---。」 「イイのか?----」 「は---はぃ----。あ---あぁ---あぁあっ---い----イイっ----」  オルテガは満足そうに笑みを浮かべ、スゥエンの身体を一層深く折り曲げた。 「イクが良い、スゥエン。ワシに犯されて、昇りつめよ。」  オルテガの律動が激しくなった 「あ---あぁあぁあっ---あぁあっ---い---イクっ--!」  スゥエンは嬌声を上げ、身を激しく震わせ、その背を大きくのけ反らせて、達した。 「中でイったか---。イイ子だ。---褒美にたっぷりと注いでやろう。」 スゥエンの内で、オルテガがひときわ大きく膨張し、勢いを増した。スゥエンはなけなしの理性で涙ながらに哀願した。が、その声はもはや睦言に等しかった。 「や---中は---イヤ---だ。-------あぁっ!」  オルテガは、スゥエンの中に熱い飛沫を容赦なく注ぎ込み、そして、その熱は、再びスゥエンの意識と理性を奪い去った。  自失し崩折れたスゥエンの肢体を冷やかに一瞥し、オルテガはニヤリと笑った。  そして、おもむろに寄り添い、その肢体を抱き寄せた。もはや、ナヴィアの第二皇子、スゥエン-ラドリックはいない。  オルテガの腕に眠るのは、愛しい妻、マドンナ-スゥエン-バスティアナなのだ。 「ワシの戴冠の前に、お前を番にしてやろなるのう、スゥエン。永遠にワシだけのものになるのだ----」  鳶色の瞳が、ひときわ昏く冷たい光を湛えて、姿見の向こうの夜を見つめていた。

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