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第12話 昔話
雅仁は夢を見ていた。
いや、過去の記憶かもしれない。古くなったフィルムを再生しているように、映像も音声も途切れ戸切の動画。
黒い大きな瞳の切れ長の目が、何かを真剣に訴えて、いや、乞い願っている。
相手はあどけなさを残した俯いた少年。
訴えを聞いているのかいないのか、応えることはない。
やがて、立ち上がると床の間に飾られた小振りの玻璃の珠を手にとって戻ってきて、親鳥が卵を抱えるように大事そうに胸に抱いた。
紅い唇が尚も説得を試みる。
少年は珠に口づけを落とすと、相手にそっと手渡しその場を離れた。
残された男は、悲しそうに紅い唇で三日月を描いた。
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