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きみさえいれば(5)

「最近上司がウザくてストレス溜まってんの。たけるが構ってくれたらストレスもなくなるのになぁ」 ふっと口角を上げて優しく笑うと、龍は俺の顔を覗き込むようにして見つめた。ゆっくりと顔が近づき、鼻と鼻が触れる。 「風呂の準備もうできてんだけど」 「……うん」 「たけるくんはいつになったら皿を洗い終わるのかな?」 ん? と聞いてくる龍の鼻はまだ俺のに触れたまま。触れてる鼻だけじゃあなくて、なんだか胸もくすぐったい。 「龍が邪魔するからじゃん……」 龍から目線を逸らしゴニョゴニョと呟くと、今度は唇同士が合わさった。ちゅっと、軽く。 「抱きついてるだけじゃん。これは邪魔には入りません」 「邪魔……だろ、」 「ってまぁ、それはどうでもよくて。明日休みだから俺が朝洗うし。だからさ、今から入ろう?」 ね? と言ってもう一度龍が唇にキスをする。 それに比例するかのように俺の顔の熱も上がる。赤くなってるのが触れなくても分かるくらい。 あぁもう、無理だ。仕方ないよ本当に。 だって龍が好きなんだもん。俺だってたくさんイチャイチャしたい。恥ずかしいけれど、ずっとくっついてたい。 俺は小さく頷いて、それから龍がしてくれた時より、ちょっとだけ強く唇を彼のに押しあてた。

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