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きみさえいれば(7)

「……え、」 ガンッと頭を何かで殴られたような衝撃が走った。 思ってもいなかった話を振られたせいで動揺したからだろう。俺の唇が一瞬にして渇き、鼓動が激しくなる。 まさかここで子どもの話が出てくるなんて。 考えないように、気にしないようにしてた、あの夕方に感じた不安がもやもやとまた心を覆い始める。 子ども欲しいって言われてもさ……。 龍……。俺とお前じゃ子どもはできないんだよ。 どんなに欲しいと願ったところで、俺にはお前の子どもを生むことなんてできないんだ。 「たけ、る? 何泣いて──」 「……っ」 龍に言われて初めて気がついた。何涙なんか流してんの、ばかじゃん俺。 「ごめん、泣くとか、意味分かんないね」 そう言って必死に涙を拭くけれど、なかなか止まらない。 「たける、」 「もう、意味分かんな……、俺、本当に、」 俺だって、子ども欲しいよ。 産めるならお前との子、欲しいに決まってる。 子どもが生まれたら三人で川の字になって寝たいなって、“パパ”って呼ばれてるお前見たいなって、普通の夫婦みたいになれたらって。 何回も考えたよ。でも、そんなことできないだろ。 俺に子ども欲しいとか言わないでよ。叶えてあげられない。 「たけるごめん、いったん上がろう? お前すぐ逆上せるから」 何も言わずに本格的に泣きだした俺の手を龍が握る。 引っ張られてなんとか立ち上がり風呂場から出ると、龍がバスタオルを俺に被せた。

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