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素直になれないの(4)

嫌だ、……いや、だ。 先輩は俺の。俺のだもん……。 ぎゅうっと握り締めた手に力が入り、爪が食い込む。 弟……しかも小学生相手に嫉妬だなんて、みっともないって思う。 でも、すごく、もやもやするんだ。 楽しそうにゲームをする二人の背中を見つめながら部屋に入り、小さなテーブルの上に飲み物とお菓子を置いた。 拓真と夢中になってゲームをやってる先輩を呼んだところでどうしようもないと分かってるけど、どうしても俺の方を向いて欲しくて。 その背中に向かって名前を呼ぼうと口を開いた時、それを邪魔するかのように“ピンポーン”と家のチャイムの音がした。 「……っ、」 誰だよ、こんな時に……! 二人にモヤモヤしながらも、お客さんが来たのなら出なきゃいけないから、わざと少しだけ音を立ててドアを閉めた。 できるだけ早く戻りたくて、急いで階段を下りる。最後は三段を一気に下りた。 それからダッシュで玄関のドアを開けると、そこにいたのは拓真の友達の充くんと尚くんだった。 「あ、陽呂にぃちゃんだ! こんにちは!」 「充くんと尚くん、久しぶりだね。拓真に用事?」 にっこり笑う二人を見れば、野球ボールにグローブとバットを持っている。 これはもしかして……。 「うん、今から野球やろーと思って」 「分かった、じゃあ呼んでくるからちょっと待ってて」

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