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修学旅行(2-1)

◆神崎side◆ 机に肘をつき、手の平に頬を預ける。 窓の外を眺めながら、髪の毛を揺らす風を感じていた。 換気をしなければと、保健委員の奴らが窓を開けたせいで、周りの奴らは「寒い寒い」と文句を言ってるけれど、俺にとってはその寒さが心地良い。 肌を突き刺すような痛みはなく、ひんやりとした風。 「神崎ー、修学旅行の班、俺らと同じでいいんだよな?」 昼休み、昼食を食べ終えてそんな感じでぼーっとしていると、隣の席に座っている滝沢が俺の肩を叩いてそう言った。 修学旅行ねぇ……。もうそんな時期か。 「あぁ、よろしく」 犬みたいな人懐っこい顔で尋ねる滝沢に、笑って返事をすると、ぱぁっと顔を輝かせた。 「じゃあさ、最後の一班だけ4人になるらしいから俺たちをそこにしてもらおーぜ。やっぱいつものメンバーだけがいいもんな」 修学旅行が楽しみだと言わんばかりに、滝沢が足をバタバタさせる。 「そ……だな、」 そんな子どもみたいな滝沢に、俺は今度は無理矢理笑顔を作ってそう返した。 いつものメンバーだけか……。 滝沢はあまり気にしてないけれど、俺と吉岡はある時から会話をしなくなった。 理由は簡単。 吉岡が悪いんじゃあない。ただ単に俺が避けてるから。 吉岡のことが嫌いだとか、そういうことではない。 俺が、自分の気持ちを制御することができないから。

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