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修学旅行(2-7)

はぁ……と、ため息が漏れる。指で自分の髪の毛をくしゃりと掴んだ。 俺さ、言うなって言ったよな。 きっ、と滝沢を睨んだ時、滝沢も自分の発言に気づいたんだろう。あ、って顔で俺の方を見る。 あ、じゃねぇよ。 怪しいだろ? 避けてんのに部屋は同じがいいとか。 俺の勝手な都合だけれど。もう本当、何やってくれてんの。 心の中で滝沢を責めるも、本人ときたら俺に対して相変わらずへらへら笑って、知らねって感じに横を向いた。 おいおい、何かしらのフォローを入れろよ。 そんな滝沢の態度にまたキレた時、こっちを振り向いた吉岡と目が合った。 けれど、俺の顔を見てすぐに、唇を噛んで俯いた。 「……っ、」 俺が怒ってるように見えたんだろう。どうして吉岡と同じ部屋にしたのかって。 あぁ、吉岡に怒ったわけじゃあないのに。 俺が、いけないんだよな。吉岡に誤解させたのだって、もともとは俺が悪いんだ。滝沢のこと怒る資格もない。 はぁ……。本当に俺は何をやってるんだろう。 視線を、吉岡たちから窓の外に移す。 さっきまで晴れていた空も、何となく曇ってきた。 一年の頃から楽しみにしていた修学旅行。 今は憂鬱でならなかった。

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