30 / 224
修学旅行(2-7)
はぁ……と、ため息が漏れる。指で自分の髪の毛をくしゃりと掴んだ。
俺さ、言うなって言ったよな。
きっ、と滝沢を睨んだ時、滝沢も自分の発言に気づいたんだろう。あ、って顔で俺の方を見る。
あ、じゃねぇよ。
怪しいだろ? 避けてんのに部屋は同じがいいとか。
俺の勝手な都合だけれど。もう本当、何やってくれてんの。
心の中で滝沢を責めるも、本人ときたら俺に対して相変わらずへらへら笑って、知らねって感じに横を向いた。
おいおい、何かしらのフォローを入れろよ。
そんな滝沢の態度にまたキレた時、こっちを振り向いた吉岡と目が合った。
けれど、俺の顔を見てすぐに、唇を噛んで俯いた。
「……っ、」
俺が怒ってるように見えたんだろう。どうして吉岡と同じ部屋にしたのかって。
あぁ、吉岡に怒ったわけじゃあないのに。
俺が、いけないんだよな。吉岡に誤解させたのだって、もともとは俺が悪いんだ。滝沢のこと怒る資格もない。
はぁ……。本当に俺は何をやってるんだろう。
視線を、吉岡たちから窓の外に移す。
さっきまで晴れていた空も、何となく曇ってきた。
一年の頃から楽しみにしていた修学旅行。
今は憂鬱でならなかった。
ともだちにシェアしよう!