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修学旅行(3-2)
はぁー……、本当に笑えるよなぁ。
好きな人にこんな思いをさせるなら、嫌いになられるなら、自分が苦しくても理性を死ぬ気で保って、友達を続ければ良かった。
そうすれば、吉岡は……。
だけど、それだっていつかはダメになる。
そんな簡単な想いじゃあないんだから。
「はぁー……」
思わずため息がこぼれた。
もう何も分からない。俺はどうすればいいんだろう? どうすれば良かったんだろう?
「いいよお前が先で。俺はお前の後に入るから」
……しまった。
言い終わった後に、自分の声に自分で驚いた。
言ってしまったのだから、もうどうにもできないけれど。
今のトーンも言い方もダメだった。吉岡に当たってしまった。キレているのは自分自身に対してなのに。
「分かった……」
最後に聞こえた消え入りそうなくらい小さい吉岡の声に、泣きそうなほど胸が締めつけられた。
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