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修学旅行(3-3)

風呂場から感じる吉岡の気配。 シャワーの音とか、シャンプーか何かの容器を置くカタンという音とか。 ……ヤバい。 吉岡を待ってる間、何となくつけたテレビの内容も全然入らなくて。 風呂場から聞こえてくるその音のせいでおかしな気分になる。 あの寝ている吉岡の唇に触れた時の感触が、まるでさっき触れたかのようにリアルによみがえってくる。 柔らかくてほんのり赤い可愛い唇。肌には触れたことはないけれど。 白くて、キレイな肌だった。筋肉もあるけれど、固そうには見えなくて。 きっと、それなりに柔らかいはず。触れたら吸い付くような触り心地なんじゃあないかな。 ああ……、このままこの部屋にいたら、風呂から上がってきた吉岡に何をするか分からない。 俺は、吉岡が上がるまで廊下で待つことにした。あと十数分くらいして戻ればさすがに上がっているだろう。 「神崎?」 廊下に出て数分経った時、誰かに名前を呼ばれた。振り返って見れば、そこにいたのは平井だった。 「何してんの? お前」 突然そんなことを聞かれたけれど、俺から言わせればそれは俺が質問したいことだ。 「別に、何かあるわけじゃあないけど」 聞くのもめんどくさくて適当にそう答えた。風呂に入ってる吉岡にムラムラしたから、とか言えるはずがないだろ。 「変な奴。あ、吉岡は?」 「吉岡は風呂」 って、自分で今そう思ったところなのに。“風呂”と言って、失敗したと思った。 ちらっと平井を見ると、にやりと笑って俺を見ている。

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