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修学旅行(4-1)
風呂から上がると、髪をタオルで拭きながらベッドに座った。
静まりかえった部屋には、俺が座ったせいで軋むベッドの音しかしない。
俺は髪を拭くのをやめ、ドアの方を見た。
吉岡は、まだ帰って来ないのか。
仕方ない。あれだけあからさまに無視したんだ。気まずくなって先に滝沢たちの所に行っているのかもしれない。
メールしてみようとバッグから携帯を取り出して開く。すると画面には新着メールの表示があった。
あ、部屋に来いってメールくれたのかな。
そう思ってメールを開いたけれど、その内容は予想とは全く違うものだった。
『平井が疲れて寝ちゃったから今日集まるのはナシな(゚▽゜)おやすみ~☆』
……はぁ、何だよこれ。
すぐに嘘だと分かるこの内容。
今日行動を起こすと言っていた平井がこんなに早く寝るはずがない。うまくいったんだ。
そうじゃなかったら、滝沢だってこんなテンションでメールしてくるはずないだろ。
「……んだよ、余裕じゃん」
何だかんだ言ったって幼なじみなんだから、お互いのことを他の友人よりは特別に思ってる。
俺と吉岡みたいに高校の途中から知り合ったのとはわけが違う。
そもそも、スタートラインが違うじゃんか。
「俺だって、」
小さい頃から吉岡と一緒にいられたら、もっと話だってできたし、ずっと一緒にいて俺の存在を大きくすることだってできたのに。
そうすれば何か違ったのかもなぁ。
別に幼なじみがいいわけじゃあないけれど、たくさん話して仲良くなる時間が欲しかった。
「吉岡、」
こんなに好きなのに
こんなにも、思っているのに。
「……はぁ、」
俺は、暗くなった気持ちを誤魔化そうとテレビをつけた。
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