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修学旅行(4-3)

そんなに滝沢たちの所に行きたかったの? (自分が気まずくしたのに) 俺と二人はそんなに嫌? (嫌じゃないほうがおかしいだろ) 俺のこと、嫌い……? (嫌いじゃないはずがない) ああもう考えたくない。そんな分かりきったこと。 なんとなく、チャンネルを次から次に切り替えてみる。 よく見る芸人が映ったり、専門家が映ったり。 そういえば今日はあの番組が放送される日だったな、とか色々考えるけれど、いつもは見るその番組も今じゃあ全く見る気が起きない。 俺の視界に入らない位置に立ってる吉岡が気になってしょうがない。見えていない分、余計に考えてしまう。 ねぇ、吉岡。今……どんな顔してる? 「吉岡」 「え……、」 振り返って、吉岡の名前を呼んでみた。 心の中では何度も呼んだその名前も、声に出すと震える。当たり前のように呼んでいたあの頃が懐かしい。 俺のせいで壊れたから、もうきっと戻ることはできないのだけれど。 俺の声に反応して、吉岡がぱっと顔を上げる。 眉を垂らして、今にも泣き出しそうなそんな表情。 俺の心臓がキリキリと泣いた。 抱きしめたくても、どうすることもできない。 俺は握っていたテレビのリモコンを吉岡に差し出した。 さっきはごめん、と呟く声は吉岡には届かない。 「俺もう寝るから」 本当はたくさん、話したいんだよ。 そんなことできないけれど。 「見たいのあったら見ていいから」 せっかく二人なのに。 俺には何かを言う勇気はない。 これ以上、嫌われたくない。 「見ない。俺も、寝る……」 さっきよりも、さらに眉を垂らし目を細めた。 噛みしめれた唇。 ゆっくりと俯いた吉岡は、震えているような気がした。 「そ、」 俺はそれ以上何も言えなくて。 おやすみの一言さえも言わずに電気を消した。

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