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修学旅行(5-3)
「ごめん、いきなり変なこと言ったよな、」
「……っ、ふ、ぅ、」
「気持ち、悪いよな? 本当、ごめん。俺、お前が泣き止むまで外にいるわ。どうしても嫌だったら滝沢たち起こして、部屋代わってもらうし……」
泣きじゃくる吉岡の背中へと伸ばしかけた手を下ろした。
最後くらいは格好つけさせて。
吉岡のために部屋を出るんじゃあない。
情けないけれど、涙がこぼれそうなんだ。
「ごめんな、」
俺は最後に一言そう言って、ベッドから立ち上がった。
ぎゅうっ。
「吉岡……?」
ドアの方に行こうとした時、うずくまって泣いていたはずの吉岡に抱きつかれた。
お腹に回された手がぎゅうっと俺の服を掴んでいる。
何が、起きてる……?
「……、……な、で」
「ぇ?」
「い、か、ない、で……」
聞こえるのは都合のいい言葉。
さっきよりも強い力で吉岡が俺の服を握る。
でも、ダメだよ吉岡。そんな優しさは、求めてないんだから。
「吉岡離して、」
「い、や……」
「俺さ、吉岡が好きって言ったよな? 意味、ちゃんと分かってんの?」
「う……ん、」
「じゃあこんなことしたらヤバいって分かんない……? 好きって、言ったじゃん……」
「う、ん」
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