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修学旅行(6-4)
◆神崎side◆
目を閉じて、吉岡が唇を俺に向ける。
少し長めの睫毛が可愛い。
俺は目蓋にキスをして、それから唇に優しく触れた。ちゅっと軽くキスをすれば、吉岡はすごく嬉しそうに笑う。
可愛いなぁ……。
「吉岡……」
「ん?」
「付き合ったのもキスも初めてじゃないけど。こんなにも人を好きになったのは吉岡が初めてだから」
俺は頬にそっと触れ、もう一度キスをした。
吉岡は一瞬驚いたような表情を浮かべたけど、すぐにふにゃりと笑った。
それからまるで猫みたいに、俺の胸に頬をすり寄せてくる。
「神崎……」
「なに?」
「ベッド狭いけどさ、一緒に寝よ?」
「それ、生殺しじゃん。俺寝られないよ、そんなんじゃ」
“いーじゃん、いーじゃん”
吉岡が甘えた声を出す。
はぁ……、俺が今までどれだけ我慢してきたと思ってんの?
「二人で抱き合って寝んの。いいと思わない?」
「いいも何も。俺が理性保てると思う?」
「明日の俺をいたわってくれるなら可能でしょ」
「簡単に言うけど大変なんだよ?」
だからずっと、吉岡を避けてたじゃん。
それをコイツは分かってんのかな?
「でも一緒に寝たいんだもん」
“もん”ってさぁ、……はぁ。
何でまた無駄に可愛いかなぁ。
「……負けました」
いいよもう。もともと今日一日我慢するつもりだったんだから。
俺は吉岡を抱き上げると、ベッドへと寝かせた。
そして、「早く」って言って隣をぽんぽん叩く、吉岡の横に寝転んだ。
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