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修学旅行番外編(2-1)

「裕……」 名前を呼んで両手で頬を包み込むと、裕也の肩がビクッと震えた。 「ゆう、」 「なに……っ」 「俺を見て」 「嫌だ……!」 何回も名前を呼んで、俺を見てって、顔を上げてって言っても“嫌だ”の一点張り。 どうしても顔が見たいのに。 俺のせいで真っ赤になった顔も、濡れた瞳も。全部、見せてよ。 「ゆーう」 「……っ」 もう一度名前を呼ぶけどやっぱりダメで。 しまいには恥ずかしいって、手で顔を隠してしまった。 ねぇ、いまさら何がそんなに恥ずかしいの? もっと恥ずかしいことだって、お互い知ってるだろ。 「小学四年生になってもお漏らししたことのほうが今より恥ずかしいんじゃねーの?」 耳元でそう囁くと、今までは何だったのかってほど、すんなりと顔を見せてくれた。 「それは、む、昔のこと、だろ!」 「いや、そんな昔でもないけど。今から何年前だったっけ? えっとー……」 「うぁ、ばっか、数えんな! それ言うならお前だって、夜中トイレに行けなくて『ゆう、一緒トイレ行ってー』って泣いてたじゃん」 「は? んなの覚えてないし。それは裕が作ったんでしょ」 「作るわけねぇじゃん!」 「さぁ、どうだか。怖がりなのは裕だったし……。ウサギの餌やりですら怖がってたもんな」 「それならお前だって、昼寝の時、必ず俺の手握んなきゃ寝れなかったじゃん!」 「はいはい。嘘です。全部覚えてますから」 さっきまで恥ずかしいって顔隠してたくせに、今は興奮して叫んでる裕也。こういう単純なとこも全部可愛い。 俺はちゅっと軽く、頬にキスをした。

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