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ミサンガ(2)
「あっそ。顔真っ赤になんかしちゃって。ソイツのことそんなに好きなの?」
顔は見られないけれど、声で何となく分かる。呆れてんいるんだろうな、って。
「……っ、うるせー!」
俺は、いー! っとしかめっ面をして雅宏を見た。ちょっとしたおふざけのつもり。
俺が緊張したせいで空気がおかしくなってしまったから、少しは和ませないとって、そう思って。
確かに幼なじみに全て言わなきゃいけないなんて決まり事はないけれど。
もし俺が、雅宏のことを恋愛対象として好きじゃあなくても、ミサンガを作るほど好きな奴がいると知れば、絶対に知りたいと思う。
教えない、なんて言われたら、それはとても寂しいから。
雅宏の、気持ちだって分かるもの。
……それなのに。
雅宏は今まで見たことないほど冷めた目で俺を見ていた。
え……? そんなに怒ることだった?
「雅宏?」
「お前が顔赤くして乙女ぶってんのまじキモいんだけど。そんなんだったら叶わねーぞ。俺なら絶対お前のこと好きになんねーもん」
「え……?」
今……、何て言ったの?
手の震えが、さっきよりもひどくなる。
やばい。目頭が熱くなってきた。涙が、出そう。
「別に、お、お前になんか好かれなくたって構わねぇよ」
歯を食い縛って泣くのをこらえ、何とかそう返すと、俺は気持ちを誤魔化すように雅宏の頭を叩いた。
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