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ミサンガ(4)
何が起こってんの?
俺のせいってさ、それって……。
じゃあ、祥汰の好きな奴って俺だったの?
まじか……。俺って最低じゃん。
「祥汰」
「もう帰れよ、出てって!」
「……っ」
目を真っ赤に腫らして、祥汰が大声で怒鳴る。
──初めて見た。
こんなに泣くのも、こんなに騒ぐのも。
ねぇ、それだけ俺のこと好きだって、そう思っていいの? 俺、自惚れていいの?
俺は、膝のところで組まれていた祥汰の手を無理矢理解き、引っ張って自分の胸に引き寄せた。
それから、力強く抱きしめる。俺より少しだけ小さいその体が震えているのがよく分かった。
「離せっ! 同情とかすんなよ……!」
同情なんてするもんか。
「ちょっと黙れって」
「は? 何言って、んッ」
俺は喚く祥汰の口を、自分の口で塞いだ。
「何でこんなことすんの? 俺のことキモいんじねぇの?」
ばか。そんなの本気で思ってるわけないだろ。
「あんなの八つ当たりじゃん。分かれよ」
「え……?」
「お前の好きな奴がまさか俺とか思ってなかったから、あんなふうに言ってしまった…。言い過ぎたと思ってる。悪かった…」
俺はぽかんとした顔で見ている祥汰の頬を両手で包み、こつんとおでこをくっつけた。
「俺もお前が好き」
大きく見開かれた祥汰の目から、また大粒の涙がこぼれた。
END
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