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そんなきみが好き(1)

三日間の長い長い出張が終わり、今日はやっと帰宅だ。 たかが三日間だと思われるかもしれないが、俺にとっては、恋人に会えないこの三日間はとても長くてつらい三日間だった。 五階に上がるエレベーターの中でも、ニヤニヤが止まらない。 真尋、待ってるかな? 恋人に会えると思うだけで緩む頬を押さえ、俺は急いで鍵を差し込み、ドアを開けた。 だけど。 いつもなら遅くまでテレビを見て起きてるはずの恋人の真尋の姿がリビングにはない。 あれ? まさか寝たの? さっきまでのテンションも急降下。何でまた今日に限って寝ちゃうかなぁ。俺、今日帰るって言ってなかったっけ? 「はぁ……」 こうなったら意地悪でもして、無理矢理起こしてやろうか。 俺はこんなに会いたいって思ってたのに、あっさり寝てしまうお前が悪いんだぞ。 そんな勝手なことを考えながら寝室に向かい、俺は部屋のドアを開けた。 「……っ、」 視界に入って来た真尋は予想通り寝ていた。 けれど、着ている服は俺のシャツで。しかも俺の枕を抱きしめて寝ている。 何この可愛い子。やばいだろこれは。 可愛らしい恋人の姿に、胸がキュンと鳴る。 すぐにでも触れたくてさっきとは違う意味で起こしたくなったけれど、それはあまりにも可哀想だから。 俺はそんな気持ちを押さえつけ、寝ている真尋を起こさないように、そっとベッドに座った。 それから、ツヤツヤとしたきれいな真尋の髪の毛を優しく撫でる。 だけど、しばらく触っていたら真尋が起きてしまった。ゆっくりと目を開け、眠そうな目で俺を見つめる。

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