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罰ゲーム(9)
「確かに始まりは罰ゲームだったけど。でも今は、そうじゃない。罰ゲームとか関係なく、悠が欲しいって思ってる」
髪をそっと撫で、悠の体を抱き上げた。
向かい合うようにして膝に座らせ、それからまた強く抱きしめる。
「友だちからの罰ゲームだった。正直最初は嫌で仕方なかったよ。けどね、悠のこと好きになった」
勝手なことを言ってるのは、分かってる。
「短い間だったけど、悠のこと、可愛いって思うようになった。罰ゲーム終わっても一緒にいたい、悠に触れたいって、そう思うようになった」
……好きだなぁって、そう思うようになったんだよ。
「別れるつもりだったよ。今日別れて、それからちゃんと、付き合って欲しいって言うつもりだった。手を繋ぐのも、抱きしめるのも、キスもデートも全部、本物の恋人になってからするつもりだった」
「ふぅ……、うっ」
「悠が好きだ。本当に好きで好きでたまんねぇの」
信じて欲しい。
今のこの、俺の気持ちに嘘はないから。
こつんとおでこをくっつけ、まっすぐに悠を見つめる。
悠の目から、また涙が溢れた。
「それは、嬉し涙だよな?」
「……ふっ、う、」
もう一度キスをして、それから頬を両手で包み込む。
「悠、俺と付き合って。ずっと大事にするから」
言葉が出ないのか、悠は何も言わずに何度も頷いて。
それからやっと、俺の大好きな笑顔を見せてくれた。
久しぶりに見たその柔らかい笑顔に、目頭が熱くなる。
それを誤魔化すようにして、もう一度悠に口付ける。
「せん、ぱ……っ、」
たくさん泣かせてごめんな?
もう泣かせたりしない。
ずっと、ずっと、大切にするから。
「悠、」
「……っ、」
「好きだよ」
だから、笑ってて。
END
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