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ストーカー(1-1)
まただ。
教室にいても下校中でも、とにかく背中に感じる視線。
ねっとりとした気持ち悪いものではないのだけれど、熱い視線をいつも背中に感じる。
犯人は分かっている。
俺と同じクラスの片宮馨のものであると。
正直なところ、片宮だと分かった時はかなり意外だった。
だって片宮は、暗いというわけではないのだけれど、大人しい性格でほとんど発言をしないし、身長も小さめだからクラスでも目立たない。
ましてやストーカーなんて大それたことはしなさそうだし。
だけど、コイツがストーカーなのは確かだ。
「あ、このシャーペンお揃いだね」ってくらいなら、よくあることだと思うしおかなしなことでもないけれど。
だからって持ち物全てが同じだなんて普通に考えて有り得ない。
文房具はもちろん、携帯ストラップまで。
しかも新しいものを買って、次の日学校に持って来ると、昨日までなかった新しいソレを片宮も持っている。
おかしいよな? 片宮と俺は同じ日に毎回同じものを買ってることになる。
たとえそうでないとしても、タイミングがよすぎるだろ。
そんなことを考えながら買い物をしていたある日。後ろで誰かが盛大に転けた音がした。
まさか、なんて思って振り返って見ると、まさかのまさか。
俺と同じものを握ってる片宮が転けた体勢のまま、顔を真っ赤にして俺を見ていた。
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