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ストーカー(1-5)
━━━━━━……
まただ。
今日もまたアイツから、熱い視線が送られて来る。
この前家に連れて行ってから、さらに熱が増した気がする、
「……はぁ、」
まぁ、それは自業自得だよな。
片宮は俺の部屋に上がると、真っ先にソファーに座った。それからクッションを手に取って、ぎゅうっと抱きしめた。
橘くん家の匂いだ、なんて言いながらね。
少しだけ可愛いなんて思ったけれど、俺はすぐに本題に入った。
『なぁ、何で俺のストーカーなんかやってんの?』
『何でって、それは……』
『それは?』
おどおどと困った様子を見せる片宮。
なんだかからかいたくなって、隣に座ると顔を覗き込んだ。
『それは、橘くんが好きだから、だよ……っ』
一気に片宮の頬が赤くなる。ちょっと、可愛いんじゃんよ。
『何で好きなの? 接点とかねぇだろ? 俺らさ、』
『だって、橘くん……、優しいんだもん……』
俺はノンケだから、今まで付き合った人はもちろんみんな女だし。
だから普通に考えて男にストーカーされて、好きだと言われてもあまり嬉しくないけれど。
片宮はなんか違ったんだよな。
だって、ただでさえ小さくてサイズ的には可愛いのに、こんな反応されたらさ。
不快感とかそんなんじゃなくて、何て言うのかな? こう、胸がきゅん? 的なことが一瞬起きて。
思わず言ってしまったんだよ。
『じゃあストーカー続ければ?』
ってね。
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