95 / 224

ストーカー(1-5)

━━━━━━…… まただ。 今日もまたアイツから、熱い視線が送られて来る。 この前家に連れて行ってから、さらに熱が増した気がする、 「……はぁ、」 まぁ、それは自業自得だよな。 片宮は俺の部屋に上がると、真っ先にソファーに座った。それからクッションを手に取って、ぎゅうっと抱きしめた。 橘くん家の匂いだ、なんて言いながらね。 少しだけ可愛いなんて思ったけれど、俺はすぐに本題に入った。 『なぁ、何で俺のストーカーなんかやってんの?』 『何でって、それは……』 『それは?』   おどおどと困った様子を見せる片宮。 なんだかからかいたくなって、隣に座ると顔を覗き込んだ。 『それは、橘くんが好きだから、だよ……っ』 一気に片宮の頬が赤くなる。ちょっと、可愛いんじゃんよ。 『何で好きなの? 接点とかねぇだろ? 俺らさ、』 『だって、橘くん……、優しいんだもん……』 俺はノンケだから、今まで付き合った人はもちろんみんな女だし。 だから普通に考えて男にストーカーされて、好きだと言われてもあまり嬉しくないけれど。 片宮はなんか違ったんだよな。 だって、ただでさえ小さくてサイズ的には可愛いのに、こんな反応されたらさ。 不快感とかそんなんじゃなくて、何て言うのかな? こう、胸がきゅん? 的なことが一瞬起きて。 思わず言ってしまったんだよ。 『じゃあストーカー続ければ?』 ってね。

ともだちにシェアしよう!