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ストーカー(1-6)
「はぁぁあ……」
俺は机に俯せになると、くしゃくしゃと頭を掻いた。
いいんだ別に。片宮の視線には、もう慣れたから。
ストーカーだって俺が許可したんだしさ。片宮は何も悪くない。
問題なのは自分自身だ。
家に連れて行って、ストーカーをする理由を聞いて、片宮に好きだと言われてから、家に帰っても、何やってんだろ? とか俺のこと考えたりしてんのかな? とか思っちゃったりしてるし。
現に今だってそう。
アイツの視線を感じる度にどんな表情で俺のこと見てんのかな? とか考えてしまう自分がいる。
何だよもう。
こんなんじゃまるで俺が片宮を好きみたいじゃないか。
え? 何? 俺って片宮のこと好きなのか? こうやって考えてるうちに好きなっちゃったの?
そりゃあさ、可愛いとは思うよ。思うけどさ。
あー、うぜぇ!
んなの分かるかよ俺は今までノンケだったんだ!
男に対してこんな気持ちなんか。
「……。」
ちらりと振り返って片宮を見る。
俺と目が合うと、片宮は嬉しそうにふにゃりと笑って、遠慮がちにひらひらと手を振った。
んだよその顔。すっげぇ可愛いじゃん。
俺は視線を机に戻すと、思わず振り返しそうになったその手をぐっと握りしめた。
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