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ストーカー(2-2)
目の前で恥ずかしそうに少しもじもじとしているのは、確かに誰が見ても美人な隣のクラスの高木奈々。
そう言えば、かつては「可愛い子がいる」なんて言って騒いでたのに。
今は? 何で? 可愛いとすらも思わない。
この照れ方も、狙ってやってるとしか思えない。
私って可愛いでしょ? みたいな。
よく知りもしないくせにこんなことを考えてしまう自分は最低だと思うけれど。
「橘くん、来てくれてありがとう。私、体育でバスケしてる橘くんに一目惚れしたの。良かったら付き合ってくれないかな?」
違う、片宮と全然違う。
片宮は見た目で好きになったんじゃなかった。
帰り道とか、とにかく色んな俺を観察した上で「優しい」って言って好きになってくれた。
俺もうダメだわ。認めざるをえない。
片宮のことが、好きだってさ。
「ごめん。好きな奴がいるから」
「そ、そうなんだ。そっか、そうだよね。いるよね、普通……」
うるっと、高木が涙を目に浮かべる。
他の奴だったらこれでコロッていっちゃうのかな。でも俺は、片宮が好きだから。
「じゃあ俺、用あるからこれで」
自分でも冷たい奴だって思うよ。
でもだからって泣きそうな高木に何もしてやれることはない。
俺はそれだけ言って、高木に背を向けた。
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