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ストーカー(2-5)
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最初は怖い人だと思っていた。
僕よりすごく背が高くて、髪だって染めてるし、目つきだって悪いし。
だけど、先生から預かったノートを廊下で落としてしまった時、真っ先に拾ってくれたのは橘くんだった。
目の前で持っていたノートを全部落としたりなんかしたから、絶対に邪魔だって文句言われると思ってたのに。
きゅっと目を瞑って、それから次に開いた時。
ノートを拾ってくれる橘くんがいた。
正直驚いた。
だからこそ、もっとこの人を知りたいとも思った。
僕が思ってる人とは、違うのかなって。とても気になったから。
教室ではほとんど……、というか全く喋らないし接点もない僕ら。学校生活の中では、橘くんの違う一面は見れない。
でも知りたいよ。橘くんをもっと。
そうしてるうちに気付けばいつも目で追って、お揃いのものを買ったり、後を付けたりする自分がいた。
僕のやってることって、おかしい。何をしてるんだろう。
やめなきゃって、自覚はあった。
だけど色んな発見があるから、楽しくて楽しくて。
近付けたような気になって。
そしたら、もっともっとって。
橘くんを、もっと知りたい。
……好きだなぁって思うようになった。
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