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ストーカー(2-6)
そんなある日、僕は大失態をやらかしてしまったんだ。
いつも通り橘くんの後を付けていたら、思いっきり転けてしまった。
転けた音に振り返った橘くんと目が合って。ストーカーしてることがバレてしまった。
もうダメだって思ったけど、橘くんは怒らなかった。
僕を家にまで連れて行ってくれて、ストーカーやめなくていいって言ってくれた。
あぁもう本当に優しい人。
僕は橘くんを、今までの倍好きになった。
━━━━━………
「はぁっ……、ふっ、」
僕は走った。
これ以上、二人を見ていられなかったから。
橘くんが、高木さんを抱きしめてた。背中に腕を回してた。
あんなの僕だってしてもらったことないのに。
高木さん、ずるいよ。
いつか、あの胸に飛び込みたいって思ってた。
優しく包み込んで欲しいって思ってた。
頭を撫でて、「馨」って呼んで欲しかった。
高木さんはもう、それをしてもらったのかな?
次から次に涙が溢れる。
僕は家に帰るとベッドに飛び込んで、それから二人を思いだして思いっきり泣いた。
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