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遠距離恋愛(4)

ぷにぷに。 ん……? なに? ぼんやりとした意識の中、誰かが俺の頬をつついているのが分かる。 いたずら好きな家族のことだ。きっと姉貴が、ベッドで寝ないでうずくまってる俺をからかいにでも来たんだろう。 絶対起きてやんねー。意地でも目を開けるものか。 「千秋」 名前を呼んでも無駄だって。俺は起きないんだから。 でも、さすがにつつかれすぎて頬が痛い。 俺はもっとうずくまって、頬に触れられないようにした。 それで諦めてくれればいいものを、姉貴ときたら今度は俺の肩を掴んで前後に揺らし始めた。 「千秋……!」 だから……! 「千秋、起きろってば!」 ……え? 何か、違和感がある。起きろ、って言った? これは、姉貴の口調じゃあない。 「千秋……!」 よく聞けば声も違う。姉貴は、こんなに低くない。どう考えても、男の声じゃん。 じゃあ、親父……? 親父が起こしに来た? いやでも、親父は俺を千秋じゃなくて、ちーちゃんとかわけの分からない愛称で呼ぶから。 じゃあ、これは誰? 「千秋、起きねーとキスすっぞ~?」 ────え? まさか? と、鼓動が早くなる。はっとして顔を上げると、目の前には大好きな隆也の顔がすぐ近くにあった。 間違いない。隆也だ。 「隆也、ど、して……?」 心臓が高鳴る。 会いたくてしょうがなかった人が、大好きな隆也が、今俺の前にいるんだ。 俺は手を伸ばすと、存在を確かめるように抱きついた。 ちゃんと感触がある。

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