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本当はね(2)
『お兄ちゃん、一緒にゲームしよう』
『お兄ちゃん、一緒にお風呂入ろう』
『お兄ちゃん、一緒に寝よう』
いつだって、何を言ったって、微笑んで頷いてくれる貴方。
いつからだったかな。“こんな人になりたい”って憧れが、“好きだ”って感情に変わってしまったのは。
背中を見るだけで、幸せな気持ちになった。
笑った顔を見ると、胸が締め付けられた。
そんな自分の気持ちの変化に気づいて、たくさん泣いた。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「ん?」
貴方が、お兄ちゃんになって数年たった今、変わらない優しさをくれる貴方と違って、僕はどんどん醜くなる。
何かと理由をつくって。
全ては、貴方といるために。
本当は、怖いの嫌いじゃあないんだよ。
確かにね、小さい頃は、おばけとか未知の存在が怖かった時期もあったけれど。僕だって、いつまでも子どもじゃない。
だけど。
“一人じゃ眠れない”
そう言えば貴方は、優しく笑って、おいでと言って僕を布団に入れ、名前を呼んで、温かく抱きしめてくれるでしょう?
本当はね、怖いの嫌いじゃあないんだよ。
ただ、貴方を独り占めしたいだけなの。
こんな僕の気持ちを知ったら、貴方は僕を嫌いになりますか?
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