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想い、想われ(2)
「何で本当にいつもこうなるのかなぁお前は」
「うるさい」
「いや、うるさいじゃあなくて。何で誰とでも付き合うのか本当に分かんねぇ」
そうだな。お前には、分からないだろうよ。
たくさん付き合ったら、その中にお前の代わりになる奴がいるかもしれないって、そんなこと考えてるなんてさ。口が裂けても言えない。
「お前本命いねぇの?」
「さぁね」
いるよ。
もうずっと前から、俺の本命はお前。
その腕に抱かれて、低いその声で名前呼ばれて、愛されたらどんなにいいだろうって考えちゃってんだよ俺は。
…もしそうやって言われたら、お前、どうする? 友だち、やめるよな。
「さぁねじゃねぇよ。慰めに来てもお前が何も言わなきゃ俺も分からん」
恭介はそう言うと、缶ビールに手を伸ばし残りを一気に飲み干した。
それから、わりと大きくため息をついた。
呆れちゃったかな……。
でもね、本当にこればかりは仕方ないんだよ。
「分かんなくていい」
「はぁ?」
慰めてくれなくていい。何も言わなくていい。
ただ傍にいてくれたら、もうそれだけでいいんだ。
「今日は飲みまくってやる!」
そう叫ぶと、恭介はさっきとはまた違ったため息をついた。それから頭を抱える。
「今日もだろうが、今日も。そして頼むからほどほどにしてくれ。後が大変なのは俺なんだから」
「恭介、どうせ泊まるんだろ? だったらいいじゃん。ね?」
恭介の顔をのぞき込んで一応は様子を伺いながらも、俺は新しい缶ビールを開けた。
「泊まらざるをえない状況を作ってんのは誰なんだろうな」
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