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想い、想われ(4)

***** 「きょーしゅけー、やらぁ」 酒を取り上げると、酔っ払いの尚が潤んだ瞳で俺を見て甘えた声を出した。 何だよ、くそ。可愛いじゃん……。 「やだじゃねぇよ。お前これ何本目か分かってんの?」 まるで犬を撫でるように両手で髪の毛をくしゃくしゃにすると、尚はふにゃりと隙だらけの笑顔を見せた。 それから、モタモタしながら指を二本立てる。 「にぃー」 飲んだ本数を二本と言いたいのかお前は。 「にぃーじゃねぇよ! その三倍だろうが!」 「えへへ」 「……っ、」 さっきからずっと笑ってるコイツが憎い。 憎いと思いながらも、可愛いと好きが勝つんだからどうしようもないのだけれど。 「ふふっ、ビールちょ~らい、」 こんな可愛い顔を、過去に付き合ってた奴にも見せていたのだろうか。 ……いや、付き合ってた奴にはまた違う顔をするんだろうな。 腹が立つよ、本当に。 そして、振った奴らにも腹が立つ。 「もう何んだよお前!」 イライラしておでこをパチンと弾くと、尚は「いらい~」と泣きだした。 大して強い力でもないのに、拗ねたみたいだ。 少しだけ怒った顔をして、俺に抱きついてくる。 はぁ、だからお前は酔うとめんどくさいんだよ。 「なーお」 「きょーしゅけのばかぁ……」 「……はぁ、」 そうだよ、確かにばかですよ。 こんなお前でさえ、可愛くて愛しくてたまらないんだから。 自分でも自覚はある。

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