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想い、想われ(6)
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「ん……っ」
朝になり、重い目蓋をなんとか開けると、隣には当たり前のように恭介が寝ていた。
ひらひらと目の前で手を振ってみるけど、すーすーと寝息をたてて寝ている。
どうやらまだ、夢の中みたいだ。きっと、しばらくは起きないはず。
そっと近づいて、胸元に擦り寄った 。
恭介の体温と心音が心地いい 。心にゆっくりと幸せが広がる。
俺はいつも通り、恭介の背中に手を回した。
恭介が起きるまでの、大切で特別な時間。
「……っ、」
いつまで続くんだろう……。
ふと、そんなことが頭を過ぎった。
恭介に恋人ができたらもうやめるだなんて思ってるけど。
そんなことできるのかな? 恋人ができるのがもし明日だったら? 今日、この後だったら?
「……ぁ、」
考えてみたら、何かが刺さったみたいに胸が痛くなった。
「……っ、」
今日だとか、明日だとか、そういうことじゃない。きっとそれが一カ月後でも一年後でも、感じる痛みは同じだから。
そんな簡単なもんじゃない。そんな、小さな想いじゃないの。
「……ひ、ぅ」
好きで、好きで、誰にも渡したくなくて。
だけど、自分のものになって欲しいと、言うこともできなくて。
それでも大好きで。それはきっと、何があったって変わらない。
たとえ同じ恋愛観の奴が見つかっても、俺の気持ちはいつだって恭介に向いてるだろうから。
恭介が、いい。
「……すき」
聞こえないように、小さな小さな声で、初めて想いを口にした。
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