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想い、想われ(7)

「……っ!」 その瞬間、寝ていたはずの恭介の腕が、俺の背中に回された。 ──ヤバい、聞かれた。 ドクドクと激しく動く心音が、頭の中で鳴り響く。 いやだ、いやだ……っ。 恭介だけには、嫌われたくない……! 「はな、せっ」 「やだね」 「きょ、すけ……! 嫌だっ」 「俺は離すのが嫌だ」 ぐいぐいと胸元を押して、何とか逃れようとするけど、力では勝てない。 それどころか、どんどん強く抱きしめられる。 どうして……? 「俺のこと好きならさ、何で他の奴と付き合うかなぁ」 ぼそりと、頭上から声がした。 「え、」 「俺が今まで我慢してお前慰めてた意味が分からん」 「……きょう、すけ?」 恭介が言葉を続ける。 けれど、言ってることが理解できなくて。 どういう意味なのかと顔を上げてみれば、待ってましたと言わんばかりにキスをされた。 この状況についていけない俺は、恭介にされるがまま。 何が起こってるのかは分からないけれど、キスを拒めるはずがない。 口内で動き回る恭介の舌に、必死に応える。 しばらくして解放されると、今度は胸元に抱き寄せられた。恭介の胸も、ドキドキ言ってる。 「お前が振られるのって、気持ちが重いからか?」 「え?」 「前はよくそうやって言ってたから、今もそれが原因なのかなって、」 「う、ん……」

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