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想い、想われ(8)
ぽんぽんと、頭を撫でる恭介の手が優しい。
これはどういうことなんだろうか。
自惚れてもいいってことなのかな……?
嬉しさやら戸惑いやら緊張やらで気持ちがぐちゃぐちゃになる。
俺はどうしたらいいか分からなくなって、ちょっとだけ顔を上げて恭介を見つめた。
ふわりと、優しく恭介が笑う。
「こんなことならもっと早くから俺のものにしておけば良かったな」
「え?」
「お前が毎回俺に、付き合うだの振られただのなんだの言うから、てっきりそういう対象に見られてないんだと思ってたわ」
今までの時間がもったいなかったと、恭介が俺を強く抱きしめた。
「俺けっこう執着心強いんだよね。一度付き合ったらすげぇ執着すんの。時間の許すかぎり好きな奴といて、お互い求め合えたら幸せなんだろうなって考えちゃったりすんだよね」
「……っ」
「甘えん坊の誰かさんとぴったりだと思わねぇ?」
「きょ……す、け」
ゆっくりと顔が近付けられ、再び唇が重ねられる。
角度を変えて何度も啄むようなキスをされた後、最高に甘い言葉を囁かれた。
「俺が愛してやる」
「お前が、俺からずっと離れないと誓えるくらいに俺のことを好きだって言うなら、俺はその倍以上お前を愛してやる」
「覚悟しとけ」
さっきまでの優しい笑顔はどこへ行ったのやら。にやりと、恭介が笑う。
「ば、か」
信じられないくらいに嬉しくて、何かが奥底からこみ上げてくる。
緩む口元をどうすることもできない。
そんな俺を見て、余計に恭介がにやりと笑う。
俺の反応を見て楽しんでいるみたいだ。
くそ、悔しいな。
“お前こそ覚悟しとけ”
俺は心の中でそう言って、恭介のシャツの襟を掴んだ。
お前も、余裕なんかなくすくらいにさ。
俺に夢中になってよ。
俺は、その唇に、自分のを強く押しつけた。
END
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