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けんかするほど仲がいい(6)

どのくらい眠っていたのだろうか。日陰にいるのに、体がぽかぽかする気がする。そんな違和感に、重い目蓋を少しだけ開いた。相変わらず視界に入る景色は、寝る前と変わらず日陰になっているコンクリート。……おかしいな、どうしてこんなにぽかぽかするんだろ。 「……ん、」 背中? 背中が温かいのかな。 何かに包まれてるような、そんな感じ。……包まれてる? ん? 包まれてるって何だよ。 まだ寝ぼけて正常に働かない頭で、そんなことをぐるぐると考える。 でも考えても分からないから、俺はまた目を閉じた。それからぐるりと、寝返りを打つ。 と、同時に、さっき感じた違和感がより一層強くなる。 何か当たってる? え? どうして……達哉の匂い……がする……の? 達哉の……。 「……っ!」 やっぱり何かがおかしいと、そう思って目を開ければ、目の前にはにやりと笑う達哉のドアップが。 「何で……」 「何でってお前と同じでサボりに決まってんじゃん」 「違っ……!」 俺が聞きたいのは、そんなことじゃあない。どうして散々俺のことを無視したくせに、今こうして抱きしめてるのかを知りたいんだ。サボりとか、それは今ここにいるんだから見れば分かるだろ。 「離せ」 「嫌だ」 「何で! お前、意味分かんねぇ……っ」 ぐっと力強く胸板を押してみるものの、体格では敵うはずもなく。あろうことか、達哉の顔がどんどん近づいてくる。ただでさえ密着しているってのに、これ以上近づかれたら心臓もたねぇよ。

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