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ストーカー続編(5)
教室に入ると、一番奥の椅子に座った。
「おいで、」
ぽんぽんと足を叩き、片宮にここに座るように促す。
片宮は可愛い顔で笑うと、ゆっくりと俺の膝に座った。
向かい合わせになっているせいで、顔と顔の距離が近い。
俺は片宮の腰に手を回し、もっと距離を縮めた。
小さな鼻に俺の鼻がぶつかる。
くすぐったいと、片宮が身を捩った。
だけどもう片方の手で、顎を固定し俺の方を向かせ、そしてそのまま唇を重ねる。
「ん……っ、」
「片宮、」
「ふ、……ん、」
甘い唇に、甘い吐息。夢中になって何度もキスを繰り返す。
しばらくして解放すると、ふにゃりと片宮が笑った。
その顔があまりにも可愛くて、今度は頬にキスをする。
それから、目蓋に……って、そう思った時、片宮のクマが思ったよりひどいことに気づいた。
「片宮、クマすごい」
指先で触れると、片宮はハッとした顔をした。
そして俺から顔を逸らし、両手で覆う。
「……見ないで、」
「最近寝てねぇの?」
「あ……、うん。だから、クマすごくて、」
“酷い顔してるから、あんまり見ないで”
そう言うから、俺は自分の胸に抱き寄せた。
こうしたら顔は見えないしな。
片宮が顔を上げてくれるまで、少しの間このままでいよう。
だけど、片宮の肩が小刻みに震えだしたから。
顔を上げてくれるのを待たずに、無理矢理上げさせた。
「片宮……?」
なんで、泣いてんの?
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