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ストーカー続編(7)
「ごめん」
ごめんな。片宮、本当にごめん。
「……っ、ふぅ、」
こんな試すようなことをせずに、ちゃんと言葉にすれば良かった。
「ごめん、」
何度も何度も、ごめんを繰り返す。
それから、あふれ出る涙を指で掬った。
「ぼ、僕、」
「うん、」
「め、え……る、」
「うん、分かってる、」
苦しそうに呼吸をしながら、片宮が言葉を繋ぐ。
「めい、わ……く、……い、や、で」
「大丈夫、ちゃんと分かったから、」
口にすると息ができなくなりそうだからって、俺は片宮の頬にそっとキスをした。
涙のせいでしょっぱいけれど、そんなことは気にならない。
片宮が可愛くて可愛くて。たまらなく好きだから。そんな想いとごめんねの意味を込めて、たくさんたくさんキスをした。
目の下の隈も、赤くなった目蓋も。
それさえも、とても愛おしい。
隈ができるまで、目蓋が腫れるまで、俺のことを思ってくれていたんだろ?
こんなことを考えるなんて、最低だろうか。
片宮を不安にさせて泣かせたのは、申し訳ないと思うし苦しいけど、俺のことやっぱりすごく好きでいてくれてるんだなぁって分かって、少しだけ、いや、わりと、嬉しいって思ってるんだ。
「た……ばな、く……ん、」
「ん?」
「す、き、」
あぁだからまたそうやってさ。
やっぱり片宮が悪いんじゃ?
可愛すぎる、反則だよそれ。
「俺も、」
もう知らないって、今度は唇を塞いだ。
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