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不思議な飴玉(1)

漫画やアニメの世界でしか起きないと思っていたことが、今目の前で起きている。 ゆっくりと自分の頬に手を伸ばし、思いっきりつまんで確認してみても、相当の痛みを感じるからこれはきっと現実なのだろう。 「あなたの願いは?」 不思議だ。 見慣れた風景に、一つの違和感。 目の前にいる謎のおばあさん。 さっきまでこのおばあさんは、買い物袋を重そうに持ちながら、俺の前をよろよろと歩いていた。その不安定な足取りが気になり、俺はおばあさんに声をかけたんだ。 「おばあさん、俺が荷物を持ちますよ」ってね。 俺はごくごく普通のおばあさんの荷物を持ってあげるという、ごくごく普通の行為をしただけ。 おばあさんだって、本当にどこにでもいそうなおばあさんだった。 それなのに、少し人通りの少ない道に入った途端、俺が荷物を持ってあげていたおばあさんは消えてしまったんだ。 そして目の前に現れたのは、いわゆるお話の中で魔法使いと呼ばれるような人が着ている衣装を身にまとったおばあさん。 さっきまで俺が代わりに持っていた買い物袋も、嘘みたいに消えてしまった。 「誰か声をかけてくれるような優しい人はいないかなぁって、お散歩してたのよ」 「はぁ……、 」 「あなたの願いは?どんなことでもいいのよ。世界征服は無理だけどね、うふふっ」 何なんだコレは。 ちょっと状況が理解できない。 おばあさんは、うふふって楽しそうに笑ってるけど、笑って済むような話ではない。 だってこんなこと、リアルで起こるはずがないだろ?

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