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不思議な飴玉(5)
この飴玉は、食べ終わってから力を発揮するのか、それとも食べてる最中からそうなのか。
そこを確かめるためにも、俺はあえてこの舐め始めたばかりのタイミングで姉貴に話しかけた。
「なぁ……。俺、買い物行くのめんどくさいから、姉貴が代わりに行ってよ」
三歩分後ろに下がりながら、恐る恐るそう尋ねる。効果がなかった時、すごく怖いからな。
でももしこれで叶ったら、やっぱり少しだけ西川に使ってみようかな。
数時間だけでも、西川が俺のものになってくれるのなら、そんなに嬉しいことはない。
ずっとしてもらいたかったこと、やりたかったこと。
それは友だちとして、できることじゃないから。
「はぁ? 買い物を代わりに行けって?」
あれ……。
姉貴の言葉にもう一歩分下がった。
タイミングが早かった?
だけど、前に一度頼んだ時には思いっきり足で蹴られたのに、今日はそれがない。
おかしいな。
姉貴? と呼んでみると、返事の代わりにため息が返ってきた。
「買い物は私だってめんどくさいわよ。でもまぁいいわ。行ってあげる」
「え……?」
嘘だろ。
本当に叶ってしまった。
それに、不自然さが何もない。
いつもなら引き受けてくれない姉貴が引き受けてくれたのは少し違和感があるけれど、何でも「いいよ」と返事をするわけじゃない。
ちゃんと、その人らしい返事で頼みごとを聞いてくれるんだ。
「ありがとう姉貴」
「いえいえ」
あのおばあさん、すごい人だったんだなぁ。
いいもの、もらったな。
そして次の日、「昨日があんたが買い出し行く日だったから今日は私よね?」と言われ、本当に前の日の記憶はなくなるんだと、また驚いた。
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