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不思議な飴玉(6)
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「広瀬、今日も屋上で食べよう」
「うん」
昼休み、いつものように西川に誘われ、俺たちは屋上へと向かった。
もちろんあの飴玉を持って。
この後に飴玉を西川に使うのかと思うと、緊張でドキドキしてくる。
「広瀬? どうした? 顔、赤くない?」
階段を上りながら、西川が俺の顔を覗き込んでそう聞いてきた。
「え?」
「ほら、顔、どんどん赤くなってる」
つんつんと、西川が指先で俺の頬をつつく。
「……っ、だ、大丈夫!」
どれもこれも西川のせいだよ! とそんなことは言えないから。
目を逸らしてそう返事をし、俺は頬を手で隠した。
「ふはっ、」
今のやり取りのどこに面白さがあったのか。
西川がいきなり笑い出した。
「なんだよ、」
「ううん、広瀬面白いなぁって」
「……はい?」
そんなに変なことしたかなぁ。
う~んと考えていると、屋上についた。
西川がドアを開けると、気持ちいい風が吹いてきた。
「ふぅ~、涼しい、」
相変わらず、誰もいない屋上。
伸びをしている西川をよそに、俺は日陰に先に座った。
緊張していたせいか、階段を上がるのが少しだけきつかったから。
大きく息を吸って、ふぅーっと吐いていると、隣に西川が隣に座ってきた。
「弁当食べよっか」
「うん。お腹すいた」
いつも思うことだけど、西川は座る時に距離を詰めて座るんだ。
そのせいでいつも緊張してる。
まぁ同じくらい嬉しさもあるんだけどさ。
でも今日は、緊張の方が大きい。
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