162 / 224

不思議な飴玉(10)

「広瀬、本当にいいの?」 「うん、お願い……」 「痛かったら言って」 「……っ、あ……」 西川への最後のお願い。 『俺を抱いて……』 「ぁ、……っ、」 「広瀬って乳首弄られるの好き?」 「ぅあ、ふっ、」 西川に、触られたところが熱い。 胸が苦しい。 息ができないくらいにドキドキする。 「にし、かわぁ……」 「広瀬……」 名前を呼んで手を伸ばすと、西川はその手にキスを落とし、俺の唇にもキスをくれた。 西川が優しい。 優しい……。 「うあ……、」 急に、怖くなった。 自分のしたことがすごく怖くなった。 俺は……何てことを。 「ひ、……ぅ、」 俺は何てことを頼んでしまったんだろう。 どうして“抱いて”なんて言ってしまったんだろう。 西川、ごめん。 ごめんなさい……。 体を繋げる行為は、大切な人とするものだ。 だから俺は、最後に西川にそう頼んだ。 だけど、西川の大切な人は俺じゃない……。 大切な人としなきゃいけないのに。 俺は、自分のことしか考えてなかった。

ともだちにシェアしよう!