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記念日(4)
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「え? 葵は休み?」
昼休み。
いつも笑顔で迎えに来る葵がなかなか来ないから来てみれば、風邪で休みだと言われた。
ちょっと待ってよ。
俺、何も聞いてないんだけど。
いくら風邪でもさ、メールくらいするべきなんじゃないの?
俺だって学校休む日は葵にメールしてるし、葵だって今まではメールしてたじゃん。
最近はお互い休むことなんてなかったから、忘れてたのかもしれないけど。
ほぼ毎日会ってるし、クラスは違うけどそれでも一緒にいられる限りは一緒にいるじゃん。
俺がいることがさ、当たり前にはなってないの?
学校に行かないってなった時、俺に会えないなぁとは思ってくれないの?
なんかそれ、寂しいな。
「ばーか」
新着メールが表示されない携帯を見つめ、俺は文句を呟いた。
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「葵、熱どんな感じ?」
放課後、葵のことが心配で家に見舞いに行くと、布団をかぶって静かに寝ていた。
葵のお母さんには、「熱が移るといけないから長居はしない方がいいよ」と、そう言われたけど関係ない。
葵と少しでも喋りたいから、起きるまで帰るつもりないし。
「寝てんなよばか。つまらねぇ」
葵と付き合うようになってもう結構経つし、何も喋らない静かな時間があっても、それを気まずいと感じることはなくなったけれど。
でも、これは違うだろ。
葵は寝てるし、これは寂しい。
「あー……もう、」
それにさ、付き合ってからどんどん好きになっていくし、一日会わないとかも我慢できない。
だから特に用事がなくても、俺がお前の家に来たり、お前を家に呼んだりするんだろ。
結局ゴロゴロして終わっちゃうけどさ。
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