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記念日(6)

「これ……」 大切に保管されてたのは、俺が誕生日にあげたスケジュール帳。 欲しい欲しい言うから誕生日プレゼントにしたけど、何を記録したくて欲しいって言ったんだろ。 興味がわいてページをめくって見ると、テストや行事の日程が細かく書いてあった。 よく見ると、俺とのデートの記録まである。 そういえば、最近あんまりデートしてないな。家の方が人目を気にしなくていいからって、ついついそうなるもんなぁ。 ここ三ヶ月分を見ながらそう考えていると、毎月必ずある曜日に丸が付けられていることに気付いた。 何だ? この丸は。 不思議に思って今月のページを見てみると、またまた大きな丸がついていて、“1年記念デート”って書かれていた。 でもその上に重ねるようにして、丸よりも大きな×印が書き足されていた 。 「あ……、」 俺は昨日、何てことを言ってしまったんだろう。 自分の言葉を思い出し、俺は頭を抱えた。 『いちいち記念日祝う意味が分かんねぇし』 「……っ」 違う、違うんだよ、葵。 ちょっと待って、葵が熱を出したのは、俺のせい? あんなこと言ったから? 傷つけた? 「くそ、」 普通に聞いてたらそう思っちゃうよな。 あぁもう本当に、何てことを。 頭を上げて、ベッドの上の葵を見る。 葵は、小さく咳をしてから寝返りを打った。 俺は椅子から立ち上がると、寝ている葵の体を揺さ振った。 「葵」 「葵……!」 「起きて!」 違うんだよ。 どうでもいいとかそんなんじゃなくて。 「葵っ」 誤解だから。 俺に、ちゃんと説明させて。

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