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もう一度(9)
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僕の気持ちに応えるように、何度もキスが繰り返される。
胸がいっぱいになって、また涙があふれた。
「……んぅ、」
背中に回した手に、力を込める。
好き。
陽呂が好き。
好きだよ。
「ひ……ろ……」
「りょ……さ、ん、」
「ひ、ろ」
まだ、好きなの。
あふれ出る涙が止まらない。
僕の背中を抱きしめてくれていた陽呂の手が、頭へと回された。
撫でるようにして、優しく触れてくれる。
温かい。
触れてくれるところ、全てが。
陽呂の温もりで包まれて、僕は幸せだよ。
「……き」
陽呂が僕と一緒にいて、楽しくないのは分かってる。
引きずってるのも僕だけだって、ちゃんと分かってる?
分かってるけど……。
「す、き」
それでも諦めきれない。
君への気持ちはおっきくて、温かくて、大切で。
これからもずっと、それは変わることはないんだ。
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