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ばぁーか(2)
「せっかくまた明日ねって言い聞かせて別れたのに」
中村が、ちゅっと軽いキスを、おでこにくれる。
「お前が可愛いメールくれたから、思わずチャリ漕いでまた来ちゃったじゃん」
「中村、」
「こんな俺は嫌い?」
“ん?”と言って、中村が僕の顔を覗き込む。
僕は中村の頬に唇を押し当てると、それから思いっきり抱きついた。
「ばか」
背中に回した手に、力を込める。
「今日はもうバイバイしたのに、何でまた来るの」
バカだよ、中村。
どんどん好きになるじゃん。
「メールしたんだから、メール返せばいいだけなのに」
「でも、僕も会いたかったから。ありがとう。……嫌いになんかならないよ」
最後の言葉だけは、恥ずかしくなったから小さな声で。
中村クスクス笑って、頭を撫でてくれた。
僕のことを「可愛い」と、何度もそう言いながら。
撫でられたところから、中村の優しさが伝わってきて、心が幸せで満たされる。
僕、中村に頭撫でてもらうの好きだなぁ。
へへっと笑って、ぐりぐりと胸に顔を押し当てると、中村が僕の髪の毛をわしゃわしゃにした。
「どんどん好きになる。林、可愛すぎ」
「……っ」
さらりと、恥ずかしいことを言う中村に、胸がドキドキする。
顔、見られてなくて良かった。
絶対に今、りんごみたいに真っ赤になってるもん。
顔だけじゃなくて、体の全部が熱い。
中からじわじわと熱が上がってくる。
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