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ばぁーか(3)
「林、顔見せて」
「……や、」
安堵したのもつかの間。
僕が照れてるの分かってて、顔を見ようとせるなんて最悪だ。
手を中村の背中に回すのをやめ、自分の頬を覆った。
ひんやりと冷たい手で、なんとか熱を冷まそうと頑張ってみる。
だけど、中村がそんな僕を見て、また「可愛すぎ」なんて言うから。
冷めるどころか、どんどん熱が上がる。
「はーやしっ、」
「も、見ないで、」
僕は近くにあった枕を素早く手に取ると、それを抱きしめ、顔を埋めた。
絶対に見せるものか……!
「照れちゃって」
「うるさい」
「可愛いなぁ」
「……中村のせい」
「え?」
「中村だから、こんなふうになるの…」
「……っ」
恥ずかしくなりながらも、紡いだその言葉に、中村の顔も赤くなってただなんて、枕に顔を埋めていた僕は知らない。
メールより、やっぱり実物がいいや。
……来てくれて、ありがとう。
「今日はもう、泊まってってよ」
「そーするつもり」
「同じ……」
「ん?」
「同じ、ベッドで、寝たいな……」
「……っ、」
中村の反応をみようと、少しだけ顔を上げてみた。
だけど、中村の顔を見る前に、枕ごと抱きしめられてしまった。
「林、可愛い。もう大好き」
「僕も好き、」
体重をかけて、中村をベッドに押し倒した。
それから、驚く彼の目を手で覆うと唇にキスをした。
中村、明日もずっと一緒にいようね。
END
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