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けんかするほど仲がいい続編(1-1)

雅行side 「雅行、DVDこれでいい?」 「あ、うん。それ見たかったやつ!」 「じゃあこれな」 達哉と付き合い始めて一ヶ月が過ぎた。 付き合い始めて変わったことと言えば、帰り道にこっそり手を繋ぐことと、たまにキスすることくらい。  それも、全部達哉から一方的なもの。 それ以外は、いつもの言い合いばかりの毎日で特にこれと言って変わりはない。 悠太にはもっと素直になれと怒られるけれど、隣にいるだけで心臓が破裂しそうになるのだから、甘い空気になんかなってしまったら俺はきっと死んじゃう。 だから今まで通りに、ちょっとの甘さがちょうどいい。 今日は達哉の家でDVD鑑賞をすることになった。 本当は出かける予定だったのだけれど、あまりにも雨がひどいから仕方なく。 達哉の家には付き合う前から何度も来ているからそこに関しての緊張はないけれど、でもやっぱり“二人だけ”にはまだまだ慣れそうにない。 俺は達哉が引っ張り出してきたDVDを棚に片づけると、リモコンで画面操作をしている達哉の隣に座った。 達哉ん家のソファーは大きくてふかふかしているから、とても座り心地がいい。 俺は、あとは始まるのを待つだけだと、わくわくして画面を見つめた。 「……ん?」 だけど、いつまで経ってもメニューボタンのままで映画が始まらない。 「達哉……?」 どうしたの? と、達哉の方へ顔を向けると、予想以上に近い距離に達哉の顔があった。 「……なぁ、」 「な、なに……っ」 「そこで何してんの?」 「……は?」   そこで何してんの? って、……え? 達哉は何が言いたいの? 映画見るからソファーに座ってるだけじゃん。ってか達哉も座ってるじゃん。

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