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けんかするほど仲がいい続編(1-2)
「お前が座るのはここだろ?」
「はぁ?」
達哉が座るように言った場所は、自分の足の間だった。どうやら俺を背中から抱きしめたままDVDを見るらしい。
「何言ってんの、そんな狭いとこに座る意味が分かんねぇ」
映画はすぐには終わらないじゃん。
長い間ずっと達哉の温もりを背中に感じなきゃいけないとか、俺には難易度が高すぎる。無理、できない。
「いいから座れって」
「やだ」
「照れんなよ」
達哉が腕を引っ張って、どうにかして俺を座らせようとする。
俺はリモコンを掴んで、達哉の胸を叩いた。
「……ってぇ、」
叩かれたところを達哉が手で押さえた。
少し強すぎかなと思ったけれど、謝るつもりはない。
だって強引な達哉が悪いだろ。
「……普通に見ようよ」
俺は、本編再生ボタンを押すと、画面へと顔を向けた。
「はぁー、」
そんな俺に達哉は、気に入らないと大きなため息で訴える。
そのせいで、なんとなぁく気まずく感じるものの、どうしようもない。
しばらく見ていると、達哉が俺の肩に頭を乗せてきた。
「なぁ……、まだ慣れない?」
「……え、」
「もう一ヶ月経つじゃん。まだ慣れねーの?」
「……達哉?」
「俺、もう少しいちゃいちゃしたいんだけど」
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