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けんかするほど仲がいい続編(2-4)
「おじゃまします、」
おばさんに軽く挨拶をして、家に上げてもらった。雅行の家には何度も来ているから、おばさんも快く上げてくれた。風邪が移るといけないから、あまり長居するなって言われたけれど。
「雅行ー、」
部屋に入り、寝ている雅行の名前を呼ぶと、ゆっくりと寝返りを打ってこちらに向き直った。熱のせいで赤くなっている頬が、なんだか愛らしい。雅行は、うるうると潤んだ瞳で俺を見つめると、ふにゃりと笑った。
「たちゅや、」
「……っ、」
……今、何て?
「ふふ、たちゅや、」
聞き間違えじゃあないぞ。なんか赤ちゃん言葉になってる。熱の力って、すごいな。
俺は適当に荷物を置くと、雅行の傍に行き、手を握った。俺の手が冷たくて気持ち良いらしく、雅行がギュッと握り返してくれる。
「雅行、けっこう熱あんのな」
手から伝わる熱がハンパない。思ってたより、高そうだ。こりゃあ、明日も学校来れないかもしれないな。
「早く元気になってー、俺寂しいよ。それに悠太も寂しいはずだし」
もう片方の手で、おでこを触る。……こりゃヤバいわ。おでこに触れた手がすぐに熱くなった。
「たちゅや、」
「んー?」
「みず、のみたい」
「みず?」
「ん、」
「待ってて、おばさんにもらってくるから」
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