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幸せになろうよ(3)
転校生の篠原は、明るくてとても可愛げのある奴だった。いつも笑っていて、周りを和ませていた彼は、すぐにクラスの人気者になった。
篠原が最初に座った席が高田の横だったってこともあり、篠原は俺たちのグループに入ってきた。いい奴だったから俺もわりと好きだったし、仲だって悪くなかった。
だけど、篠原が全部壊した。
俺の大切なものを、俺から奪っていったんだ。
いつも俺のそばにいてくれていた高田は、気がつくと篠原とばかり連むようになっていた。俺に向けられていた視線は篠原に移り、一緒に過ごす時間が、グンと減った。
グループのメンバーで一緒にいても、どこか二人の世界があって。
高田は優しいから、転校してきたばかりの篠原の相手をしてあげているんだって思ってたけど、そのうち、高田は本当に篠原が好きなんだと知った。
篠原に向けられる視線も笑顔も何もかもが、全て優しくて色づいてた。
もともと、高田は俺のものじゃないんだし、誰と仲良くしていたって、別に俺が何かを思う権利なんてものはないのに。
一番苦しかった時から、俺にはもう高田しかいなかったから。
篠原を、酷く憎んだ。
気に入らなかったの。
だって、篠原が来なければ、高田の隣にいたのは俺だったんだから。
でも、もうそれは叶わない。
高田の隣にいられないのなら、高田が俺の傍にいてくれないのなら。
全部、壊れてしまえばいい。
俺が、全部壊してやる。
そんなことを考えるようになった。
嫌いな篠原に徹底的に嫌がらせをして。
高田には、「篠原と仲良くすると噂を流して篠原を苦しめてやる」と言って脅した。
優しい高田は篠原を守るために必死になって。
みんなから篠原が嫌われることよりも、自分が篠原に嫌われることを選んだ。
俺の脅しに従って、一緒に篠原を苦しめた。
そのうち、高田は笑わなくなった。
俺に、笑顔を見せてくれることなんてなくなったんだ。
隣にいられないだけじゃなくて、笑顔さえも見ることはできないのか。
俺が全部めちゃくちゃにしたのに、俺はそれを全てを篠原のせいにした。
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